大津ジャズ日誌 第2回
みなさん今日は。大津初心者の宗純です。
今回は大津港から琵琶湖汽船のミシガンに乗船することにしましょう。
ところで、なんで「琵琶湖丸」とかじゃなくて、「ミシガン」なんでしょうか?
どうやら大津市とアメリカのミシガン州のランシング市とは長らく国際交流を深めている関係にあるからということです。
ミシガンは映画「ショウ・ボート」に出てくるような外輪船で、2本の大きな煙突が目印です。沖合い遠くにいても、この大きな煙突で、すぐにミシガンとわかります。
ミシガンクルーズはおよそ90分の時間ですので、お供にするアルバムは2枚。
1枚目はハービー・ハンコックの1965年のアルバム「処女航海」。
お次は黒人女性ジャズボーカリスト、サラ・ヴォーンの1954年のアルバム「サラ・ヴォーン・ウイズ・クリフォード・ブラウン」です。
さあ乗船しましょう。スタッフ・クルーによる元気一杯のお見送りのセレモニーは、恥ずかしさを忘れ、子供になった気持ちで参加しましょう。
さて1曲目の「処女航海」。ハービー・ハンコックの曲の中ではもっとも有名な1曲です。
タイトルのように新たな船出を思わせるスローテンポな曲で、ミシガンがその大きな船体をゆっくりと始動させる場面にぴったりです。
2曲目の「ジ・アイ・オブ・ザ・ハリケーン」で船は嵐に遭い、さまざまなドラマが展開しますが、5曲目の「ドルフィンダンス」で船は無事に港に入港します。
このアルバムには最初から最後まで一貫したストーリーが描かれています。
人生の新たな船出を迎える若者でも、これまでの人生を振り返ろうとする中年以降の方でも、それぞれの味わい方、楽しみ方ができる、非常に完成されたアルバムだと思います。
私も学生の頃からこれまでおよそ40年間、何度も繰り返し聴いていますが、そのたびに新しい音が聴こえてきたり、新しい感覚を味わったりしています。
ミシガンが雄琴沖あたりまで進むあたりから、2枚目のアルバムを聴き始めましょう。
まず1曲目の「バードランドの子守唄」。黒人女性ジャズボーカルのお手本のような曲です。
豊かな声量、ハスキーな声質、表情を自由自在に変化させるテクニック。この頃のサラ・ヴォーンは無敵でした。あまり上手すぎて彼女が嫌いなジャズファンもいるほどです。
2曲目の「エイプリル・イン・パリス」は一転してしっとりしたスローバラード。
ピアノだけの伴奏で歌うサラも素晴らしいですが、クリフォード・ブラウンとの掛け合いも聴き所です。
クリフォード・ブラウンは1956年、わずか25歳で自動車事故のためこの世を去っています。ブリリアントという言葉がもっともふさわしい音を出した不世出の天才トランペッターでした。
サラ・ヴォーンの歌声に酔わされているうちに、ミシガンは大津港に近づいてきました。
花噴水もライトアップされています。下船したらアーカスでお食事でもいかがですか?