街の灯り(2)
10月6日から10日まで、「灯りウォーク」が開催されています。手作りの行灯が旧大津公会堂で公開されていますが、街中には、大津祭りの曳山にちなんだ灯りが、そこここに展示されています。そのいくつかを紹介しましょう。
中京町の「源氏山」
もちろん、石山寺で紫式部が「源氏物語」を書いた故事に因んでいます。
時に「紫式部山」と呼ばれることもあるそうです。
太間町の「龍門滝山」
こんな故事があります。黄河の上流の龍門山の滝には、どんな魚でも上ることはできない。もし上がる魚があれば、その魚は直ちに昇天して龍になる--。
登竜門という言葉もここから出たそうです。
柳町の「殺生石山」
能楽の「殺生石」から考案されたもの。鳥羽院に寵愛された玉藻前は、実は狐で帝の命を奪おうとしていたのを安部泰親に見破られて、那須の殺生石となって旅人を悩ましていた。その狐を玄翁和尚が法力によって成仏させた、というお話から。
猟師町の「神功皇后山」
神効皇后が戦さの前に、肥前国松浦で鯉を釣り、戦勝を占ったという伝説に因んでいる。
ところで、この皇后は、戦さの後に応神天皇を無事出産したことから、この山は「安産の山」として信仰されている。
丸屋町の「西王母山」
むかし崑崙山に済む、西王母が天女とともに舞い降りて、君に桃の実をささげて長寿を祝った。この桃は3000年に一度、花が咲き、一個しか実らない貴重なものだったとか。
のちに、このお話に桃太郎の説話が加味されたと言われている。
中堀町の「孔明祈水山」
蜀の諸葛孔明が、魏の曹操と戦ったとき、流れる水を見て、「敵の大群を押し流してください」と水軍に祈り、大勝したという故事による。
俗に「祈水山」ともいう。
湊町の「石橋山」
謡曲の「石橋」にもとづいたもので、大江定基入道寂昭が宗の国に渡り、険しい石の橋を渡ろうとしたとき、獅子が現れて、牡丹の花に舞戯れるのを見た、という故事に因んでいる。
牡丹の花に狂う唐獅子で有名。
灯りは全部で13個あります。とうぜん、曳山の数と同じだけあるのですが、ここでは7つだけ紹介しました。じつは、ぜんぶ発見できなかったのです(^^;;。
13個の灯りは、すべて寺町筋を湖に下る途中にあります。
期間は10日の大津祭りまでです。大津の街を歩いて、曳山の灯りを見つけてください。きっといい街歩きになると思います。