山吹地蔵

山吹地蔵

 JR大津駅を出て左に折れるとすぐの処に、そっと隠れるようにしてお地蔵さんがあります。「山吹地蔵」と言います。

 お地蔵さんは子どもの記憶を祀っていることがおおいのですが、これは違います。山吹御前を記念して小さな祠が作られました。

 山吹御前と言っても知らない人の方がおおいかもしれません。巴御前とともに、木曽義仲の愛妾でした。

 その義仲が鎌倉の軍勢と戦います。形勢は不利。義仲の安否を気づかった山吹は病をおして逢坂山を越えて大津までやってきます。しかし、すでに義仲は敵刃に討たれ、山吹もまた秋岸寺(現在、JR大津駅がある辺りにあった)の境内で殺されました。

 この山吹のことを偲んで、後に有志たちが秋岸寺に地蔵尊を刻んだということです。これが「山吹地蔵」の由来です(と知った風なことを書いていますが、「山吹地蔵」の前にある掲示板にそう書いていました(^^))。

 なかなか悲しい歴史がJR大津駅の周辺にはあるのですね。

 こんな句があります。

 「木曽どのを したひ山吹 ちりにけ里」

湖水渡り

 明智左馬之助という人がいました(知らなかった(^^;;)。

 明智光秀(知っています)の弟さんだそうです。

 天正10年(1582年)、光秀は織田信長を本能寺に攻めます(知っています)。

 が、すぐに山崎の合戦で豊臣秀吉に敗れます(知っています)。

左馬之助 湖水渡りのところ

 で、兄光秀の死を知った左馬之助は、その時安土城を攻めていたのですが、すぐさま阪本城に向かいます。ところがここに大きな湖が横たわります。そこで、この左馬之助さん、「大津、雄琴などをまわっていたのでは時間がかかるわ、ええい、ここはびわ湖を渡るぞ!」と意を決して、愛馬にまたがり阪本城をめざすのです(知らなかった(^^;; でも、馬が阪本までず~うっと泳いだということはないでしょうね? 途中で船に乗ったのだろうな・・・・)。

 この左馬之助がびわ湖に踏み出した場所が、じつは打出浜なのです。前にお知らせした「渚のテラス」のちょっと手前、今は「琵琶湖文化会館」の建っている辺りが「明智左馬之助 びわ湖渡りのところ」として記憶されている場所です。

 そこには小さな碑が建っています。柳の木に隠れるようにしてありますので、ちょっと見つけにくいかもしれませんが、ここはあまり知られることのない歴史の名所でもあります。

社(やしろ)オリエンテーリング

 大津市にはたくさんのお寺があります。三井寺はその代表格ですが、街中にもちいさなお寺がたくさんあります。これはおそらく、仏教がびわ湖の北を入り口として伝来してきたことにも由来するのでしょう。

 でも、その分、神社というのは大津の街中ではあまり見かけないようです。

 「あまり見かけない」と書きましたが、じっさいはあるのですね。大きなものとしては天孫神社があります。しかし、街中に溶けこむような形で静かに、小さな祠もまた、そこここにあります。そこで、ここでは街中にある三つの社を紹介します。

蛭子神社

 

 これは「蛭子神社」です。とても小さな神社です。

 古い街並みのなかに隠れるようにして、あります。

 鳥居をくぐった所に、この神社のいわれが書かれています。

彦田稲荷神社

 これは「彦田稲荷神社」、赤い鳥居がお稲荷さんをしめしていますね。

 ちょっと大きめの道路に接していますが、鳥居をくぐれば意外なほど静かな空間がひろがります。

 伏見稲荷のようにはいきませんが、ふたつの赤い鳥居が目印です。

 でも、その後ろには、石造りの鳥居もありますよ。

八幡宮

 

 そして、これは「八幡宮」です。 

 三つの神社について、場所はあえてお知らせしません。JR大津駅から京阪浜大津駅の間にあります。

 なぜ場所情報をお知らせしないかと言うと、これはちょっとした意地悪でもあるのですが(^^)、大津の街をフィールドにオリエンテーリングのように三つの社を見つけ出していただければ「街歩き」も楽しくなるのではないか、と思っているからです。

 オリエンテーリング感覚で大津の街中の社を探し当ててください。でも、ちょっと見つけにくいかも(^^)。

湖岸散歩

 びわ湖の湖岸には遊歩道がとても充実しています。大津ジャズフェスティバルに来られて、ゆったりと湖岸を散歩しながらびわ湖を楽しむのもいいのではないでしょうか? その散策コースをひとつご紹介します。

 京阪浜大津駅からまず大津港に出てください。いずれもジャズフェス会場ですが、この大津港を起点に取りましょう。

 大津港会場は湖岸に設定されていますから、そこがもう遊歩道のはじまりです。

 遊歩道に立って、東を向きます。つまり、びわ湖を左側に見るわけですが、そのままお進みください。するとアーカス会場や琵琶湖ホテルが見えますね。これらの建物のびわ湖側はガラス張りなので、向こうからも散歩しているあなたを見ているかもしれません(^^)。

 そのまま歩くと、メイン会場の「おまつり広場」です。通りを挟んで向かい側が「大津市民会館」会場です。

「おまつり広場」から比良の山並み

 そのまま東に向かいましょう。すぐに「大津湖岸なぎさ公園」が広がります。

この公園の広い芝生の上に立って、ふとこれまで来た道を振り返ると、写真のような風景になります。

 この写真の左端に見える建物の前が「おまつり広場」です。はるか向こうには比叡の山並みが見えますね。

 空はあくまで青く、そして湖面もあくまで青い、これがびわ湖の魅力です。

 写真を拡大すると見えますが、この遊歩道では自転車を楽しむ人たち、釣りを楽しむ人たち、そしてジョギングを楽しむ人たちがいつもいて、時間がゆっくりと流れていることを実感することができるでしょう。

遠くに大津プリンスホテルが

 同じ地点から遊歩道を横切ってギリギリまで湖岸に出て、進行方向(東側)を見ると、二番目の写真のようになります。どちらを向いても、空は青く、湖面も青い(当たり前ですが)。水が近くに広がっているのはとても安らぐということを実感できますよ。

 遠くに高い建物が見えますね。あれは「大津プリンスホテル」です。全面ガラス張りのリゾート・ホテルです。湖岸歩きのランドマークになっています。

 写真の右端に写っている白い建物、判りますか? これがびわ湖ホールで、ここではオペラの上演もできる、とても立派なホールです。残念ながら、今年はこのホールはジャズフェス会場ではありませんが、散歩の途中でぜひお立ち寄りください。

 これまで「街歩き」として「街中」を紹介してきましたが、やはりびわ湖でおこなわれるジャズフェスですから、ぜひ皆さんにはびわ湖の湖岸散歩を楽しんでいただきたいと思います。

 大津港からびわ湖ホールまでは約1.5㎞、大津プリンスホテルまで歩いても2.5㎞の距離です。ゆっくりと歩いて30分余り、湖岸の散歩をお楽しみください。

W・ヴォーリズ設計、大津教会

 大津で伝統的な建築物といえば、町屋が思い浮かびます。しかし、じつは滋賀県には、古い西洋建築もたくさんのこっています。

 W・ヴォーリズ(1880~1964)という人をご存じですか? アメリカの宣教師で建築家(代表的建築物には、関西学院大学、日本基督教団大阪教会などがあります)、そして近江兄弟社の創立者のひとりですが、近江八幡市を拠点にしていたこともあって、滋賀県にはかれが設計した建物がたくさんのこっているのです。湖北町の朝日教会とか、米原市の旧醒井郵便局とか、数年前に話題になった豊郷小学校とか・・・・。

大津教会

 で、もちろん大津市にもヴォーリズが設計した建物がのこっています。大津教会です。

 この教会堂は、ヴォーリズの設計によって、1928年に大津同胞教会の会堂として建てられました。もともと大津には大津組合教会と大津同胞教会というふたつのキリスト教教会があったのですが、このふたつが合同して、現在は大津教会として運営されています。この大津教会が、ヴォーリズ設計の同胞教会堂を継承しているというわけです。

 現在、大津教会は施設内に愛光幼稚園をもっており、教会の周りにはいつも園児の声が元気にひびいています。

 建物の場所はとても判りやすいです。JR大津駅から中央大通りを下って2分、大通りに接して左側にありますから、誰でも見つけられるでしょう。

 伝統的な町屋も、伝統的な西洋建築もある町、それが大津です(自慢!)。